ようこそ KMC学習所へ 令和4年1月11日更新

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 オリンピック終了後も緊急事態宣言を発出し続けた結果、8月下旬になり新規感染者数の増加傾向が弱まり、9月に入って減少傾向が現れるようになった。しかし、重症患者が増加する傾向が続き、医療の逼迫体制が改善されなかったため9月末まで緊急事態宣言は継続された。9月末になって東京都の新規感染者数が300人/日を下回るようになり、緊急事態宣言は全面的に解除された。その後、新規感染者数の減少に合わせて無症状感染者数も大幅に減少し、ロジスティック特性に基づいてコロナは自然消滅の状態に進んでいった。このまま進むと第6波の発生は避けられるであろうという期待感が社会に広まり、楽観的な行動が安易に行われるようになった。

 一方、第5波の鎮静化に失敗するすると、年末年始に第6波の襲来を招くことが懸念されたため、GoToトラベルやオリ・パラを含めた各種イベントや感染対策の一連の失敗経験に基づいて、医療逼迫時の対策がこの期間に進められた。ワクチン接種率の向上効果と日本人の生活環境と生活行動がコロナの閉鎖領域の環境を感染鎮静化の方向に誘導し、コロナの感染拡大意欲を削いでしまったのであろう。その後も感染鎮静化の流れは進み、東京都の新規感染者数は10~20人/日の水準まで改善された。このタイミングでコロナの鎮静化を実現できなければ問題解決は長期化することになる。経済再生を急いだり、水際対策を急激に緩和すると、コロナの感染意欲を目覚めさせることになる。政府も各自治体も慎重に感染対策を進めた。

 昨年11月末になって以降、不気味な現象が現れ始めている。東京都の日々の新規感染者数が20人/日を下回る数値になったが、値が変化しなくなる下げ止まり現象が現れるようになった。更に、南アフリカで新たに発生したデルタ株より強力な感染力をもつオミクロン株が英国を中心にEUの各国に感染拡大し、米国、アジアの国々、日本にまで感染を広めてきた。我が国も、年末年始にかけての水際対策、感染拡大防止対策の必要が叫ばれ、ワクチン接種率の向上を含めて各種対策が順次実施されたが、対策の実施よりも感染拡大の勢いが勝っていたのか次第に主要都市を中心に国内での市中感染が広まる状態になってきている。この状態が続くと、新年の1月中旬から下旬にかけて第6波の感染波が発生する危険性が感じられる。第6波の感染波が全国的な規模にまで発生すると発生の波は2月~4月の期間にわたり5月のゴールデンウィークまでを含めた影響の長期化が予想される。

 感染が鎮静化し政府も国民も安心と思う時期に海外で新たに変異株が発生し、水際対策の不備に乗じて国内に侵入し、鎮静化が進み浸透しやすくなっている社会に新変異株が現れるはじめると、感染が急速に拡大する恐れが生じる。その傾向が国内に現れ始めている。この環境で年末年始の人の行動が活発になる事態が加わると、第6波が発生するきっかけになる。ある一定水準を超える事態にまで感染拡大が進むと、ロジスティック特性に基づく感染拡大が活発化し短時間に鎮静化を図ることが困難になる。短時間に急拡大して各方面への影響が大きくなると、回復の期間も長期化するとことになり、今までよりも大きな医療逼迫状態や経済的損失を受けることになる。更に、円安や物価の高騰による経済的不安定が発生し、企業倒産や失業者の増大、生活困窮者の増加などの社会不安が増してくることになる。

 新年になって、感染拡大が急ピッチに進むようになった。日々1.5~2倍を超える感染が拡大し、週単位では5~10倍の感染拡大で、沖縄、首都圏、関西圏では1日の新規感染者数が1000人/日を超える状態になっている。感染は若者を中心に広まっているため、第5波のデルタ株の場合と異なり、重症者は現在のところ増大していない。無症状者や軽症者の増大が中心の現状から、感染者数には注目せずに「ある程度感染の広まりを許容しては」との意見がちまたに起きている。しかし、場所によっては、患者の急拡大によって医療従事者への感染も発生しており治療に対応できる人材の不足現象が生じる状態になりつつある。今後、拡大が広まるにつれてエッセンシャルワーカーや産業分野に広く感染が拡大すると経済への影響や社会混乱の発生に繋がる危険性がある。注意が必要である。


 オリンピック開催前後に第5波の感染拡大の波が押し寄せ、感染拡大につれて日本全体が医療体制問題を中心に混乱した状態になった。政権維持を図りたい政府と自民党は形振り構わず、戦略なき感染対策を場当たり的に繰り返し実施してオリ・パラ開催を進めた。オリンピック開会式後も、庶民は外出自粛を要請され、ステイホームでオリンピックの観戦を求められた。しかし、オリ・パラのお祭りムードは社会に広まっていった。

 オリンピックのお祭りムードと感染予防のためのステイホームや外出自粛要請という相矛盾する行動を庶民に同時に要求したために、緊急事態宣言の発出中にもかかわらず市中の人流は増加傾向を示し、オリンピック開催期間中も終了後も、感染の波は収束しないで感染拡大を続け、終了後に日々の新規感染者数が5000人を超える規模まで拡大させてしまった。

 オリンピック開催後の第5波の感染波が高まり、新しい変異ウイルスが蔓延するようになると、新規感染者数の規模も毎日5000~10,000人に拡大する恐れが予想され、医療体制が危機的状態に陥ることが懸念された。PCR検査結果が陽性になっても即入院とならず自宅待機が要請され、患者の症状が急変しても入院先が見つからずに肺炎が悪化し生命が奪われるケースも発生するようになった。しかし、オリンピック開催によって日本の獲得したメタル数を上回るコロナによる死者が続出しても「オリンピックは成功した」と関係者は語った。

 政府が期待しているワクチン接種も、日本社会の集団免疫や世界の集団免疫が確立されて、はじめて安心できる体制になるのであってそれまでは油断できない。ワクチンについては、世界的な需要・供給の問題があり、国内的にはSCMの問題があり、自給自足体制の不備やブースター接種の問題など多くの課題が山積しており、接種が進めば感染が鎮静化すると簡単に言えない状態にある。

 政府や自治体が進めた感染対策では効果は期待できなかった。コロナ感染拡大の勢いが人間の防疫システムよりも先行する状態となり「コロナに制御される社会」にしてしまった。コロナの行動は人の行動をきっかけに始まる。人の行動を適切に制御できない政府や自治体の愚かさが問題であった。感染現象の実態を科学的に把握・認識し、それに影響している人の行動や社会現象に着目し、それらの実態を認識できるセンサーの仕組みを検討し活用し、対策を実施するタイミングや実施する手段などを科学的に検討しないと適切な対応は行えない。

 オリ・パラや各種イベントの実施は感染を広め、各種対策を減退させた。感染した人やグループを素早く見つけ、その人やグループを特定し、完全に隔離できばよいのだが、対象物の特定に時間がかかり、管理が十分になり後手の対策になってしまった。その原因は無症状感染者の存在や対象閉鎖領域の特定、範囲・個数などの確定が不十分で思い込みで対応したからであり、各種イベントの推進がそれらを助長させた。現在行っているレベルの対策ではコロナの鎮静化は不可能である。ロックダウン対策についても、「実行しても効果がない」という首相の説明は正しくない。感染者の隔離を感染拡大の防止手段として完全に活用できればロックダウンは意味がある。しかし、家庭内にまで感染が日常的に広まる感染環境になると従来のロックダウンでは効果がなくなってしまうことになる。幸いにも、医療関係者の症状悪化対策が成功し、一時は逼迫する事態に追い込まれたが短時間に凌ぐことができ、コロナの鎮静化傾向に救われて最悪の事態を避けることができた。

 平成30年間の失政が、こんなに日本社会を駄目にしてしまったのかを考えると今後が不安である。自立する能力を失いかけている現在の自民党政権や政治家のレベルでは、先進国としての日本の存在が危惧される。前首相の「皆で頑張れば可能」という言葉も空しく、的確な答えにはならない。日本の現状では、国民は「自らの命を自ら守る覚悟」が必要であり、デジタル化を推進しても改善はできない。パンデミックからの立て直しは、単純にコロナを駆逐する問題ではないという認識を持つことが重要である。日本人の英知を集め、戦後の日本復興を行った努力を新しい観点で行う必要がある。

 

 コロナ危機に遭遇して、日本の国が抱えている多くの社会問題が赤裸々になった。昭和の末期から平成時代30年の間に心配していたことであるが、日本の社会は質的にも量的にも劣化した。社会が劣化したことは、日本国民の生活が劣化したことになる。最も大きく劣化したのは政治的な劣化である。戦後生まれの民主主義を理解できていない世代や敗戦復興後の豊かさだけを満喫し尽くしてきた世代の世襲政治家としての台頭が、日本の社会を正しく導く能力を消滅させ、「虚飾と傲慢さ」が横行する社会にしてしまった。その結果、ピーターの法則が示すように、コロナ危機という21世紀の世界的な災害に遭遇し、適切に対応できる能力を失い、国民を不幸に導く事態になってしまった。

 特に、民主主義的考え方の劣化が甚だしく、必要以上に権力を行使する傾向が強くなった。欧米の先進国と比較しても、その傾向が種々の面で顕著に現れている。オリンピック開催に関しても、開催国に相応しい国であったかどうかの疑問を感じる。パンデミック下でのオリンピック開催を中止する勇気もなく、自らを適切に制御する能力も失ってしまった。これだけの大イベントを成り行き任せで実行すると、随所で綻びが発生し、適切な対処が不能になるのは当然のことである。オリンピックのスケジュールは消化できたが、その間に首都圏を中心にコロナ感染を広め、全国の医療体制が崩壊する危機を招いてしまった。感染者は重篤化しても直ちに入院できずに、命を落とした人も現れた。更に、この影響が今後の経済活動に影響するようになるであろう。

 オリンピック開催との関係を別にしても、社会が抱える種々の問題を無視することはできない状態になってきている。科学技術力の低下や経済成長力の後退、国民の生活水準の劣化、社会の仕組みの弱体化、政治体制の陳腐化、デジタル化の遅れ、医療体制の不整備、リスク管理体制の不整備、多様化の遅れ、貧富の格差、教育格差、子供の貧困化問題、災害対応能力の不備など、先進国としての遅れが顕著になってきている。コロナ危機に直面してこれらの諸問題が一層顕著になった。多くの多方面の課題を同時に解決しなければならない局面は今後の社会運営を困難にするであろう。

 今後、これらの諸問題を社会構造の体質改革を推進する課題として捉え、計画的に検討を進めなければならない。そのためにも、平成時代30年間の失政を的確に反省し、現在発生しているパンデミックのリスクにも適切に対応できる体制を整備すべきである。そのためには社会の指導層を含めた人事の刷新が不可欠であり、中長期の計画が必要になる。

 KMC学習所では、これらの問題に関連する話題を取り上げ、科学技術的な観点や情報技術的な立場から分析し、日本社会の構造的体質問題、経済成長と日本の産業構造の問題、デジタル化社会に関連する問題、デジタル教育に関する問題などについて、戦後復興に実社会で携わった一員として諸見解に触れ、考えてみたい。