ようこそ KMC学習所へ 令和4年4月21日更新

 感染が鎮静化し政府も国民も安心と思う時期に海外で新たに発生した変異株が、水際対策の不備に乗じて国内に侵入し、鎮静化が進み感染しやすくなっている社会に新変異株が現れるはじめると、感染が急速に拡大する恐れが生じる。その傾向が国内に現れ始めている。この環境で年度替わりの人々の行動が活発になる事態が加わると、第7波が発生するきっかけになる。

 ある一定水準を超える事態にまで感染拡大が進むと、ロジスティック特性に基づく感染拡大が活発化し短時間に鎮静化を図ることが困難になる。短時間に急拡大して各方面への影響が大きくなると、回復の期間も長期化するとことになり、今までよりも大きな医療逼迫状態や経済的損失を受けることになる。更に、円安や物価の高騰による経済的不安定が発生し、企業倒産や失業者の増大、生活困窮者の増加などの社会不安が増してくることになる。

 最近の傾向として問題と感じられるのはPCR検査結果の陽性率が高いことである。PCR検査結果の陽性率が40%を超える日が多い。従来の記録では高いときでも10%前後であって20%超えることは稀であった。今までと比べると、検査件数が1万件程度少なくなっていることが原因だろう。検査対象者の二人に一人がコロナに感染しているという異常な状態になっている。この状態では東京都の日常の感染状態が的確に把握できていないことになる。検査数を増加させると2~3万人/日を超える新規感染者が発生している可能性がある。

 巷の無症状感染者が感染源になって感染を拡大させている。感染者が無症状や軽症者であっても1日の感染者数の規模が大きくなると、重症者が発生する割合が高くなり死者も増加することになる。一方、オミクロンの変異株BA.2の浸透が進むと、従来のオミクロンに比べて感染率が1.5倍程度高いため感染拡大が大きくなり、庶民の生活に感染への恐怖によるストレスを増大させることになる。今後、新変異株に置き換わる期間を考えると、3月末から4月にかけて「下げ止まり傾向」で推移し、4月下旬以降に第7波が現れて急速に拡大し、1日当りの新規感染者数が3万人規模を超える可能性がある。年度末から年度初めは人々の活動が活発になる時期であり、油断できない状態が続く。

 これがパンデミックの恐ろしさであって、「ウイズコロナ」などの安易な考え方や重症者が一定の数値にとどまるならば適宜経済再生に重点を移す考え方の導入などの行動が大きな危険性を伴うことになる。パンデミック時のコロナ対策の検討には中長期的な観点に立った思考が重要であり、感染環境の変化に対応して対策案を刻々見直し、実施順序などを柔軟に修正する姿勢が必要となる。対策の立案時には、「コロナが嫌がる経済再生パターン」を検討し実施する覚悟が必要であり、刹那的な期待値を得るための曖昧な根拠に基づく対策は慎むべきである。的確なデータに基づく理論的にも正しい対策の立案とその実行が重要である。

 

 コロナ危機に遭遇して、日本の国が抱えている多くの社会問題が赤裸々になった。昭和の末期から平成時代30年の間に心配していたことであるが、日本の社会は質的にも量的にも劣化した。社会が劣化したことは、日本国民の生活が劣化したことになる。最も大きく劣化したのは政治的な劣化である。戦後生まれの民主主義を理解できていない世代や敗戦復興後の豊かさだけを満喫し尽くしてきた世代の世襲政治家としての台頭が、日本の社会を正しく導く能力を消滅させ、「虚飾と傲慢さ」が横行する社会にしてしまった。その結果、ピーターの法則が示すように、コロナ危機という百年に一度の世界的な災害に遭遇し、対応能力を失い国民を不幸に導く事態になってしまっている。

 特に、民主主義的考え方の劣化が甚だしく、必要以上に権力を行使する傾向が強くなった。欧米の先進国と比較しても、その傾向が種々の面で顕著に現れている。オリンピック開催に関しても、開催国に相応しい国であったかどうかの疑問を感じた。パンデミック下でのオリンピック開催を中止する勇気もなく、自らを適切に制御する能力も失ってしまった。これだけの大イベントを成り行き任せで実行すると、随所で綻びが発生し、適切な対処が不能になるのは当然のことである。オリンピックのスケジュールは消化できたが、その間に首都圏を中心にコロナ感染を広め、全国の医療体制が崩壊する危機を招いてしまった。

 平成の時代以降、社会が抱える種々の問題が無視することができない状態になってきている。科学技術力の低下や経済成長力の後退、国民の生活水準の劣化、社会の仕組みの弱体化、政治体制の陳腐化、デジタル化の遅れ、医療体制の不整備、リスク管理体制の不整備、多様化の遅れ、貧富の格差、教育格差、子供の貧困化問題、災害対応能力の不備など、先進国としての遅れが顕著になってきている。

 更に、国際環境の悪化に伴って、現在の日本の防衛体制や防衛能力で国民の生命を守る体制が整っているのかどうかが疑問になってくる。コロナ危機に直面してこれらの諸問題が一層顕著になった。多くの多方面の課題を同時に解決しなければならない局面は今後の社会運営を困難にするであろう。今後、これらの諸問題を社会構造の体質改革を推進する課題として捉え、計画的に検討を進めなければならない。そのためにも、平成時代30年間の失政を的確に反省し、現在発生しているパンデミックのリスクにも適切に対応できる体制を整備すべきである。

 KMC学習所では、これらの問題に関連する話題を取り上げ、科学技術的な観点や情報技術的な立場から分析し、日本社会の構造的体質問題、経済成長と日本の産業構造の問題、デジタル化社会に関連する問題、デジタル教育に関する問題などについて、戦後復興に実社会で携わった一員として諸見解に触れ、考えてみたい。