ようこそ KMC学習所のホームページへ 令和3年5月10日更新

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 令和元年末に世界のコロナ危機が始まった。我が国でも、令和2年の始めに感染の拡大が発生し、第一波の波を経験した。当初の日本の波は、欧米で発生した波に比べて感染者数も少なく、国民の多くが、比較的簡単に収まるであろうと安堵していた。第一回の緊急事態宣言が発出され、感染状態はある水準まで沈静化できた。しかし、その後の政府の対応の拙さも影響して、夏頃から年末にかけて、第一波に勝る第二波、第三波が発生し、医療部門が対応に苦慮した。

 令和3年になっても、感染拡大が続き、2月に2回目の緊急事態宣言を発出して、やや減少傾向が見られ、ある水準まで沈静化されてきたが、その後下げ止まり状態が続き、余談を許さない状態が続いた。3月初めに、緊急事態宣言を2週間延長し、3月21日に医療体制が逼迫した状態でなくなったという理由で宣言を解除した。解除2週間後に、再び感染が増加傾向に変わり、関西圏、首都圏を含めて、第4波を警戒しなければならない状態になっている。

 関西圏では、従来型のウイルスから変異型ウイルスに置き換わり、感染が拡大する事態になっている。変異型の感染によって感染が急速に拡大し、重症化率も高くあり、実効再生産数も大きくなる状態になっている。その後、この変異型の傾向が首都圏にも移動し始め、新規感染者数が急速に増加するようになっている。このような状態の中でも、オリンピックの聖火リレーはスタートしてしまった。

 オリンピックの開催を支持率向上に活用したい菅政権は、「オリンピック開催ありき」を前提に、必死に開催に向かって進んでいる。世界のオリンピック関係者は、他国よりも感染者数も少なく、日本の首相が開催できると言っているのだから、日本国内ならば安全に開催できるだろうとの期待感から、是非開催して欲しいと希望し、そのための支援は行うと話しているようだ。逆に、日本の関係者はオリンピックの開催の有無はIOCで決めることであり、IOCが開催すると言っている以上、日本は否定できないという姿勢をとっている。現在の世界の感染状態、日本の感染状態を適切に評価し、問題なく開催できるかどうかを検討した結果ではない。日本の国民や世界主要国の一般の人達の7割以上が開催は困難であると考えているのに反している。

 このまま進むと、オリンピック開催の直前に第4波の感染症拡大の波が押し寄せ、日本全体が医療体制の問題を含めて、混乱に陥る可能性が大きく、オリンピック史上最悪の事態になることが予想される。政権維持を図りたい政府は形振り構わず、戦略ない感染対策を場当たり的に繰り返し実施していくだろう。庶民は自らの生命を自ら守らなければならない覚悟が必要になる。その後に続くのが第5波の波である。次々に続く波に苦しめられる事態が濃厚になってきた。

 オリンピック開催によって、感染拡大が悪化し、第4波、第5波の波に遭遇する事態が生じると、必ず、経済的に困窮する事態が発生する。政府や自治体が進めている感染対策では効果はなく、コロナの感染が先行する状態を繰り返すようではコロナに制御されている社会と言っても過言ではない。コロナの行動は人の行動によって決まっている。人の行動を適切に制御できない政府の愚かさが問題である。政府が国民に信頼されていないからであろう。首都も変異ウイルスに支配されるようになり、一層、感染力を強め、感染範囲も拡大する。これに対しても、適切な対策が実行できていない。政府や自治体を信用していると国民は殺されることになる。

 更に、コロナ危機により、社会的な多くの問題が露わになり、サプライチェーンの問題まで発展する危険性を感じる。日常生活用品のサプライチェーン、半導体や工業部品のサプライチェーンなどが問題になる。頼みのワクチンもお金があっても調達できない状態になっている。首相は訪米中に確約してきたと言っているが、電話レベルの話し合いが着実に実行されることにはならないだろう。首相のワクチンの確約は信用できない。

 平成30年間の失政が、こんなに日本社会を駄目にしてしまったのかを考えると今後が不安である。自立する能力を失いかけている現政府では、先進国としての日本の存在が危惧される。そのことから考えても、現在の日本社会や日本国ではオリンピックを安全に開催できる国ではなくなっている。前首相の皆で頑張れば可能という言葉も空しく、的確な答えにはならない。

 

 昨年来、コロナ危機に遭遇して、我が国が抱える多くの社会問題が赤裸々になってきた。昭和の末期から、平成の30年の間に、心配していたことであるが、日本の社会は質的に劣化した。社会が劣化したことは、日本の国民が劣化したことになる。最も大きく劣化したのは、政治的な劣化である。民主主義的考え方の劣化が甚だしく、必要以上に権力を行使する傾向が強くなった。欧米の先進国と比較しても、その傾向が種々の面で顕著に現れている。4ヶ月後に迫ったオリンピック開催に関しても、開催国に相応しい国かどうか疑問に感じる。オリンピックを中止する勇気もなくなり、自ら制御する能力も失っているのではないか。成り行き任せを感じる。

 オリンピック開催の有無を別にしても、社会が抱えるこれらの諸問題を無視することはできない。日本社会の根底に関わる問題であるからだ。科学技術力の低下や経済成長力の後退、国民の生活水準の劣化、社会の仕組みの弱体化、政治体制の陳腐化、デジタル化の遅れなど、先進国としての遅れが顕著になってきている。今後、これらの諸問題に対して、社会構造の体質改革を推進する課題として捉え、検討しなければならない。そのためにも、平成30年間の失政を的確に反省し、現在発生しているパンデミックのリスクに適切に対応できる体制を整備すべきである。

 KMC学習所では、これらの問題に関連する話題を取り上げ、科学技術的な観点や情報技術的な立場から分析し、日本社会の構造的体質問題、経済成長と日本の産業構造の問題、デジタル化社会に関連する問題、デジタル教育に関する問題などについて諸見解に触れてみたい。